2016.01.30 音楽
ナチュラルチーズだけならいいじゃないか、生乳と食塩だけでつくられたナチュラルチーズを口にする。世界三大ブルーチーズのゴルゴンゾーラを取り入れながらYMOのThousand Knivesで意識を高めているのである。多く降り注いだ大雪のあとの午後、獣道ともいえる誰かの足跡を辿る。ブーツに水が浸み渡らないよう、一歩一歩を慎重に歩いている。目指しているのは、ただ生乳と食塩だけでつくられたナチュラルチーズなのである。
雪道とはいえど、音楽ひとつで気分は一層変わる。一層どころか、二層以上変わるのが音楽である。いつもならジャズでやり過ごす道のりを、珍しくテクノで乗り越えてみる。テクノというか、もはやYMOである。外出であるなら、もちろん 何事もLiveバージョンでやり過ごすべきだという勝手な判断で、ひたすらYMOのThousand Knivesを聴くことにした。『Live at The Greek Theater 1979』でブルーチーズまでの道のりをうまいことやり過ごす。Youtube内のコメントで『この音楽が1970年代に〜』とあるように、とにかく時代を考えさせる暇を与えないほど現代にぴったりな音楽である。雪道の足跡を辿る風景でさえもぴったりなくらいだ。YMOは雪国東北へのご理解がありすぎるのではないかというくらい、足元から暖めてくれるような音源である。
話は脱線するが、ここで東北の冬についてちょっとだけ語りたい。ブーツの磨り減った部分の靴底を修正しようと、ふと靴棚から靴底補正のクリームを取り出した。たった半年前に購入したものであるが、いざ蓋をあけてみようとすると寒さのあまり固まって外せない。本気を出そうと、部屋からペンチを取り出して思いっきり蓋を開けてみた。これでつかえるぞと思いきや、蓋の先が完全に固まっているではないか。これはいかんと、クリームの真ん中からハサミで思いっきり真っ二つに切断してみる。なるほど、中身までしっかり固まっている。これが東北の冬の抽象的な表現である。
話はもどるが、雪道をYMOを聞きながら歩いていながらも、最終的にほしいものは生乳と食塩だけでつくられたブルーチーズである。とにかくこの寒い季節には、チーズを口にすることで寒さを乗り切れる変な自信に生まれ変わるのである。
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