2020.06.07 民間伝承
一年のうち、はじめて蚊に食われる時期というのは覚えておいて損はないだろう。なぜなら若いふりをして半袖半ズボンになったタイミングで、蚊にがつんとやられるからである。言っておくが、衣替えというのは蚊に血を捧げることを許すためのおこないではない。
ちなみに冒頭から『蚊に食われる』と表現しているが、これは『蚊に刺される』ということである。どうやら地方によって言い方がいろいろあるようで、どちらが正しいというわけではない。
というのも、私は以前『蚊に食われた』と茶の間で嘆いていたところ、言葉がおかしいと指摘された経験がある。
私からすれば、刺される痛みや刺激があれば『刺された』と言える。ただし、蚊に関しては『刺している』というより『刺して吸っている』というのが事実であろう。もしかすると、本当のところは『蚊に吸われた』という方が的確かもわからない。
ただ、私としては『蚊が刺して吸っているもの=私の血液』であることに変わりはないので、私の血を食しているという意味で『蚊に食われる』という表現を採用している。あとは結局のところ、感覚とテンポだ。
自分が正しいと信じていることを、物腰柔らかめに伝えることが大事なのである。
さて、蚊に何回食われると献血に必要な血量になるのか、気になったので調べてみた。献血では200mlの血量が必要。蚊に食われる際の血量であるが、蚊はMAXで5mlほど血を吸うことができるらしい。その上で、蚊が生命活動と繁殖をしていくためにはその半分の2.5mlを採取すればよいとのであるが、実際には1回で吸い切るために4~5回にわけて吸うようである。つまり、1回あたり確実に0.5mlくらいは吸っているだろうと私はみた。
そうすると単純計算で、100回吸われると約50ml、400回吸われると約200mlになるだろうということがわかった。蚊に400回食われるというが果たしてどのくらいだろう。
ひと夏で蚊に食われる箇所を10箇所程度だと仮定すると、10年間で約100箇所。400回吸われるまでには40年ほど必要になってくる。
そう考えると、ちょっとやちょっと蚊に食われたくらいでは献血ほどの血量は集められないのは言うまでもない。
そう考えると一瞬、蚊も地道にがんばっているんだなとも思えるが、やはり人間にとってはお断りもなしに無断に自分の血を食われることは、心底許せないものである。
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