2016.02.02 民間伝承
ホームセンターに足を運んで、奥にいる犬のコーナーを眺めている。そうするとついつい、そのさらに奥にある熱帯魚コーナーにまで足を運ぶことになる。熱帯魚や古代魚もいいのだが、それよりももっと片隅にいる、小さなゼニガメやミドリガメを見つけようとする。そして、同じ視線までしゃがみ込んで同じ時間を数分ほど過ごすのである。彼らが小さな身体を一生懸命動かしながら、泳いだり呼吸をしたりするのをただただ眺めている。「私はいつ外出や遠出をするかわからないからね、君と一緒に生活することはできないんだ。けれど、もしも遠出をする予定もなくなったときは、君のために酸素ボンベも上物を用意しておくからね。」と、そっと言葉をかけるのである。それがゼニガメとミドリガメに対する敬意である。
このページで書いていること
さて、カメの話題になるとなんとも紛らわしいが、カメは陸水と生活できても部類は両生類ではなく爬虫類であるらしい。なんでも、鱗や固い体を持つものは、両生類には属さないようである。両生類の代表といえばカエル・イモリ・ウーパールーパーなどである。なるほど、たしかに鱗も固い部分も見当たらない。それに比べると、カメにとって最も印象的なあの甲羅は、まさに固い部分である。これが爬虫類としての条件に当てはまるようである。
ただし、先ほど述べたカエル・イモリ・ウーパールーパーなどの両生類は、長時間において水がないと生命に危機を生じる。しかしながら、カメの場合は長時間において水から離れていることが可能であり、また産卵も水の中ではなく陸で産むのが基本である。呼吸に関しても、カメは両生類特有のえら呼吸ではなく、肺呼吸である。
これらのことからカメの部類は爬虫類ということがわかる。ただし、両生類のように陸水どちらでも生活ができるというのはなんとも逞しいことである。人間の軍隊あれば、陸軍でも海軍でもどちらでも採用されるようなものなのだから最強である。私はそんなことを思いながら、午後のホームセンターのゼニガメとミドリガメにさよならを告げる。
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