茅ケ崎沖にサメがあらわれ、カツオノエボシなどという毒を持ったクラゲも出現。そんなニュースを眺めていた祖母は言う。「クラゲがサメを刺してしまえばいいんだ。」と。生態系を覆す逆転の発想を展開している夏、私はあいかわらず祖母に脱帽だ。浜で生まれて十数年育った祖母でさえも、引き続き海に対する否定的な意見を繰り返す。
サメは人を襲うと習えば、サメに対する敵意が生まれる。クラゲが毒を持っていると習えば、クラゲに対する敵意が生まれる、同じことだ。敵と敵であれば、敵同士が喰い争ってもらった方が自分で争うよりもよっぽど合理的で省エネなのだから。サメもクラゲも人間を襲ってもよいことはない。かえって自らの生命を危機に導いているのだと、超音波か何かで伝えたいものだ。復讐も憎しみも、何もよいものは生みやしない。祖母もダウンタウンブルースも、伝えたいことはそれだけだったはずである。
我々は過去の結果に対しての良し悪しを判断するのではなく、過去の原因となるべきところを見つめ続ける必要がある。よいこともよくないことも、すべては慣性にすぎないのだから。善良の行いを習慣となるまで繰り返すことに尽くし、それ以外のものは言葉ではなく行動として徹底して避けていくべきであると私は思っている。
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