2012.09.27 民間伝承
視覚的、湿った路面に掴まる東
湿った路面がつい秋分のタクシーの運転手を連想させる。
路面に掴まるように喰い込むゴムタイヤに身を任せて長い月日が経つ。
空中に舞い上がる瞬間と継続的に運ばれていく秋の風は
触れることなく、ただ霧の渦中を全うする。
視覚に纏わる国語の流派はまだ紅葉の訪れを語ることもできず
寒波とその先にある、蕗の薹を待ち望む芋となる。
南風にはまだ昨年の波を押し寄せて
視覚どころか、触覚の存在すら気づいていないようである。
東北に染まる、紅葉の色彩は南下することもなく
ただ淡々と時雨の音を聴覚の補充としている。
槍の間合いもまだまだだな。