2014.08.15 民間伝承 キンコウカ,ユリ,ワタスゲ,意識,懇切丁寧,潜入,祖父,苔,集落,雪駄,駒止湿原
新盆と七回忌の重なりには、どこかその地方内において祖先の魂を解放させるための空間も必要なのではないかと私は思っている。そこで私は、故人となった祖父と夜な夜な盃を交わした翌朝、やや西に位置する駒止湿原まで足を運ぶこととした。
祖父が駒止湿原とどのように向き合っていたのかは全く意識もしていなかったが、最寄りで湿原があるという点に、私は勝手ながらに強く関係性を感じたのである。決して天候・季節ともに吉とは思えなかったが、山だけに思い立ったが山である。駒止湿原内はふだんパンフレットやカタログで見かけるほどワタスゲ一面の季節でもなかったが、集落から数十分登る間の山々とその静けさには、言葉には代え難い神秘性を強く感じる。
雪駄で湿原を登ろうとしたのが大きな誤であったのだろう。一際目立ってしまったその足下に心配をいただいた管理者方に、駒止湿原内を懇切丁寧にワンツーマンでガイドをいただくことになる。雪駄で一人湿原を渡ろうとした若者は、まさしく駒を止められたのである。
さすがにガイドも入るとわからない植物はない。キンコウカにヒヨドリバナ、ネジバナ、コオニユリ、トモエソウ、アオモリミズゴケ…と私にとって初めて耳にするような湿原の夏における植物をご紹介いただいたのだ。何はともあれ、最も無礼であることは自身が湿原で最も感動した苔の名前を、教えてもらったにも関わらず名前ごと、すっかりど忘れしてしまったことである。不思議とメモしたはずの紙切れまで紛失してしまっているのはあしからずである、御免。
追記:紛失していたメモ帳が見つかった。上記の植物の他にはミツモトソウ、ヒヨドリバナ、マルバモウセンゴケなどを記録しており、特にヒカゲノカツラは魅力的であったように思う。
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