2012.10.12   視覚表現

名刺の歴史、日本の文化


今回の小島名刺では、名刺の歴史について述べたいと思います。

日本における名刺の存在は、世界と比較すると比較的親近感のあるものだと思います。特にビジネスシーンにおいては、初対面時の常識でもあります。では、そのような習慣はいつから根付いたものなのか。
 
 一般的に言われているのは江戸時代の終わり、つまり明治時代(1860年代)であるとされれております鹿鳴館時代には、外国人と接する役人たちを筆頭に名刺が使われるようになり、紋所の下に自分の名前を書いたようなデザインが多く使われるようになりました。しかし、名刺そのものの根源はさらに過去をさかのぼることとなります。名刺の起源は、漢字や仏教と同じように中国(7〜10世紀:唐)であるとされているのです。当時の中国の人々は、訪問先で相手が不在であった場合、木や竹の札に自分の名を書いたり掘ったりして、戸口や玄関などに刺していたとされております。今でいう置き手紙のような使い方をされていたのでしょう。このような姓名を記した竹木のことを「刺」と呼ぶのです

 このような意味では、日本でも江戸時代(19世紀頃)には、訪問先が不在であった場合には自分の名を記し、相手に知らせるようにしていました。ただし、日本の場合は紙片や和紙などに墨で自分の名前を書いていたとされております。

 
参考文献: 平凡社 「世界大百科事典」岩波「広辞苑」


 漢字や仏教に限らず、日本は古来から東アジアや世界各地からの文化を受け入れ、それを自分たちの生活と習慣に合わせてアレンジし続けてきました。名刺もまた同じですし、今後デザイン性、用途ともにますます多種多様になることは間違いないでしょう。環境や生活スタイルに合わせてかたちを変えていくこと、それが日本人の継承してきたスタイルであるのです。名刺は今、ビジネスシーンに関わらず己を象徴する名の札として一層活用する幅が広がるでしょう。


槍の間合いもまだまだだな。