2014.07.26   視覚表現 ,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,

素朴な資源と環境から芽を生み出し、質素な生活を丁寧に育ませる。

北欧のデザインから生活と文化を紐解くと学ぶべきことが多く、自らの知恵として参考にしたいこともまた多くある。北欧諸国の生活と文化を知りたいと思ったのもひょんなことがきっかけで、きっかけはたまたま見かけた、ある北欧デザイナーによるポストカードだ。より少ない線で、より少ない色彩で構成されたその図案は、それだけで暖かみと豊かさのある雰囲気を醸し出しているのである。

いわゆる、『シンプルでありながらユニーク』なのだ。そんな1枚のポストカードから、「どのようなライフスタイルからこのような作品が生まれるのか」と疑問になり、北欧デザインを紐解く運びとなるのである。大概できあがった作品やデザインというのはきっかけであり、核となるべき部分は、その作品が生まれる『過程や物語』に要旨があることが多い。単純にその作品やデザインに惚れこむことができたところで、どこかで本質を解こうと費やす時間がライフワークのようだ。

北欧は冬が長く、雪が多い。すべてはこの『気候』という自然環境から生まれているのである。冬が長く、雪が多い=年間を通して太陽が現れる時間が少ない。つまり、自然に訪れる暖かさと明るさは少なく、自らその『暖かさ』と『明るさ』を室内に生み出さなければならないのである。そうすると、年間の多くを過ごす室内で使用する家具や雑貨も、できるだけ暖かみと機能性のあるデザインにする必要がある。

産業革命後のアーツ&クラフツ運動にもあるように、デザインというのは美しさと機能性のバランスが重要である。この『美しさ』というのが、北欧でいえば『暖かみ』であったり『豊かさ』に値するのであろう。日本でも北欧デザインが親しみやすく浸透しているのは、日本も古来から、木や素材をいかした工芸を伝統としておこない、限られた資源を尊重し、大事に利用していく精神があるからである。

既存するできあがった住居と環境は、安定した精神を維持するが、何かを生み出したり、発信するためのふさわしい環境とは言いがたい。素朴な資源と環境から芽を生み出し、質素な生活を丁寧に育ませる。


槍の間合いもまだまだだな。