Photo

私が写真に興味を持ち始めたのは、小学校4年のときであった。当時、まだ携帯電話のカメラ機能やデジタルカメラの普及はしていなくて、インスタントカメラやチェキといったカメラがお遊びにはぴったりであった。とはいっても、インスタントカメラも常に持って遊びにでかけていられたわけではなく、小学校の学習旅行や家族旅行など、ちょっとしたイベントのときにだけ、特別に持たせてもらえるものであった。

私は家の中を始め、近所の草花やガラクタなど、ありとあらゆるものを写真におさめた。そして当時、写真において最も興味深かったのは『自分』という、ふだん目にすることができない人物が、まわりとどのように接しているのか、どのように混じわっているのかを確認できるところにあった。そのような意味では、自分が撮影したものよりも、まわりの人間が撮影したものを見ている方が楽しかったという方が正しかったかもしれない。いずれにせよ、そのような過程の中で、私は写真というものに対して人一倍興味を深く抱いていたように思う。

そのようにして中学生にもなると携帯電話が普及し始めた。携帯電話には、これまでのインスタントカメラやチェキといったものとは全く違った、今の『デジタルカメラ』に値する利便性を兼ね備えていた。これまで以上に身の回りのものや風景を写真におさめることが容易になり、そのあまりの容易さに、一時は写真を撮ることに飽きて全く撮らなくなる程のものであった。

その後、改たに撮影をおこなうようになったのは大学に入り、アニメーションを学び、制作を始めてからであった。元々は、アニメーションに用いるイラストの参考用に、青春18きっぷをつかっては福島から京都・奈良や広島まで足を運び、これまでみたこともない風景を何度もカメラにおさめていた。そのうちに、単純にイラストの参考用として撮影していたカメラも、序々に機材や撮影場所、天気や空模様にこだわりを抱くようになり、写真というものをひとつの作品として考えることができるようになった。